酒場紀行 vol.6 | クラフトジン露(つゆ)

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酒場紀行 vol.6

鎌倉 We Base レストラン「こう」 

 江ノ島電鉄・由比ヶ浜駅から数分歩くと、松の間からふと現れる白い建物がある。
「WeBase鎌倉」だ。かつて研修施設だった場所を、旅人の憩いの場として再生したリゾートホテルだ。扉を開けると、ゆるやかな曲線の廊下が現れ、その先にフロントがある。とてもオシャレだ。ロビーには大きな窓から光が差し込み、ソファーに旅人たちが思い思いの時間を過ごしている。読書をする人、テラスでコーヒーを飲む人、パソコンを開いて仕事をする人。鎌倉という土地が持つ「静かな自由」が、この場所全体を包み込んでいるようだった。

 「WeBaseはつながりの拠点という意味を込めています。」そう話してくれたのは、支配人の中川さん。穏やかな語り口に、ホテル全体の空気がそのまま重なる。「観光地としての鎌倉だけでなく、この土地の暮らしや人、文化を感じてもらいたい。そのきっかけになればと考えています。」その想いは、ホテルの随所に息づいている。

 鉄板焼レストラン「こう」は、WeBase鎌倉の象徴のひとつだ。イタリアンの技法をベースに、地元の食材を中心としたフルコースが並ぶ。相模湾の魚介、鎌倉野菜、そして湘南の肉。
鉄板の上で繰り広げられるシェフの動きはまるで舞台のようで、音と香りが五感をくすぐる。その料理に寄り添うのが、鎌倉クラフトジン「露」。食前酒としての一杯から、メイン料理とのペアリングまで、露の持つ清らかさと奥行きが料理を一層引き立てる。「露」は、WeBase鎌倉の食卓で「鎌倉のもうひとつの味わい」として静かに根を下ろしている。

 鎌倉の朝は、驚くほど静かだ。木々の葉の間を抜ける風の音が、ゆるやかに時間を告げている。鉄板焼レストラン「こう」は、朝の仕込みが始まっていた。
香ばしいバターの香り、そば粉のやさしい匂い。朝食の主役は、地元鎌倉野菜と湘南の卵を使ったガレットだ。シェフが鉄板の上に生地を広げると、すぐに小さな音を立てて焼き色がついていく。その上に地元鎌倉ハムのソーセジ、半熟卵が丁寧にのせられていく。見ているだけで、楽しい。朝から心がほどけていく。旅の夜に鉄板の炎を見つめ、翌朝には同じ鉄板で焼かれる一枚のガレットを楽しむ。そこには、WeBase鎌倉という場所がもつ「循環する時間」が流れていた。


 「お客さまにお出しする際、露がどんな水で、どんな想いでつくられているかをお話しします。鎌倉という土地に寄り添って生まれたジンですから、その背景も含めて味わっていただきたいんです。」中川支配人の言葉は、まるでこのホテルの哲学そのもののようだった。旅人に鎌倉の本質を伝えたい——その誠実な想いが、WeBase鎌倉の空気をつくっている。そして、その想いは実際に伝わっていた。それは、露を気に入ってくださったお客さまが、後日、「露を飲みながら、また母と鎌倉の思い出を話したい・・・」など、オンラインショップから注文くださることが増えている。

この記事の著者

秋山 栄二

はじめまして。新聞社を退職後、ラジオ局の役員を経て、2024年11月に株式会社風雅を設立しました。主な事業は酒類販売小売業、広告代理店業です。趣味は旅行と食べ歩き。おいしいお店やBAR情報など紹介していきますのでお楽しみに!

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