酒場紀行 Vol.16 | クラフトジン露(つゆ)

BLOG & INFO

酒場紀行

酒場紀行 Vol.16

AKAMA鎌倉 ー 偶然の出会い

 赤間さんと出会ったのは、酒場のカウンターだった。
私は浄智寺の朝比奈ご住職と小料理屋のカウンターで飲んでいた。隣り合って飲んでいるうちに、自然と会話が始まった。赤間さんは一つの節目を迎えていた。AKAMA鎌倉のリノベーションに向け、金融機関へローン審査の書類を提出した帰りだったという。

 「どう思います?」そう聞かれ、私は根拠のない直感でこう答えた。「大丈夫。きっと通りますよ」結果は、その通りになった。

 AKAMA鎌倉は、2024年7月1日にオープンした。

 鎌倉・長谷の、観光地の喧騒から少し離れた閑静な住宅街。そこに佇む築100年以上の古民家を、丁寧にリノベーションした宿だ。1日1組限定の宿泊施設。貸し切りで楽しめるサウナ。そして、カフェ&ダイニングバー。「旅館」と一言で言ってしまうには、あまりにも自由で、余白がある。滞在する人それぞれが、自分のペースでこの空間を味わえる。

 赤間さんは、もともと不動産会社の出身だ。独立し、不動産会社を経営してきた。けれど、いつしかこう思うようになったという。「箱を作るだけじゃ、もの足りないなって・・・」日本を明るくしたい。そのためには、地方創生や地域活性が欠かせない。ただ建物を作るだけではなく、人が集い、循環する“場”を作りたい。AKAMA鎌倉は、その想いの結晶だ。

 AKAMAは、鎌倉だけで完結する場所ではない。鎌倉を「全国のハブにする」そう赤間さんは語る。その第2段として、今年秋に「AKAMA富山」がオープンした。富山湾で朝採れした魚を、ライブキッチンの炉端焼きで提供する。赤間さんは、魚を捌けるシェフは、意外なほど少ないという。だからこそ、全国からシェフが集まり、魚の捌き方を学ぶ場にしたい。「富山の魚を鎌倉で。鎌倉野菜を富山で。そんなイベントもやりたいですね」地域と地域をつなぐ。人と人をつなぐ。AKAMAは、そんな交差点のような存在を目指している。

 とにかく、お店に来てくれるのが嬉しいんです」そう語る赤間さんの言葉は、とてもシンプルで、真っ直ぐだった。事業計画や理想論の前に、人が来てくれること。そこに価値が生まれる。

 夜が深まる頃、ダイニングバーで露のグラスを傾ける。古民家の静けさの中で味わう露は、いつもより少し表情が違う。北鎌倉・浄智寺の「甘露の井」を水源とするその一杯は、庭の竹林の香りを含んだ空気と重なり、より柔らかく感じられた。

 AKAMA鎌倉という空間は、露が持つ「土地の記憶」や「水の物語」を、驚くほど自然に受け止めてくれる。あの夜、酒場のカウンターで交わした会話から、今のAKAMA鎌倉、そしてAKAMA富山へと続く道が確かに始まっていた。偶然の出会いが、必然に変わる瞬間を、私は確かに目撃していたのだ。

AKAMA鎌倉 https://kamakura.akama-inc.jp

AKAMA富山 https://toyama.akama-inc.jp


この記事の著者

秋山 栄二

はじめまして。新聞社を退職後、ラジオ局の役員を経て、2024年11月に株式会社風雅を設立しました。主な事業は酒類販売小売業、広告代理店業です。趣味は旅行と食べ歩き。おいしいお店やBAR情報など紹介していきますのでお楽しみに!

コメントは受け付けていません。

プライバシーポリシー / 特定商取引法に基づく表記 / 利用規約

Copyright © 2025 株式会社風雅 All Rights Reserved.
0 カート

CLOSE