BLOG & INFO

酒場紀行

酒場紀行 vol.27

ストリングスホテル東京インターコンチネンタル「チャイナシャドー」

初夏の光に透ける、鎌倉の露

 品川駅港南口から歩いてすぐ。ストリングスホテル東京インターコンチネンタルは、都市の喧騒を静かに離れたような、空に近いホテルだ。その26階にある中国料理「チャイナシャドー」で、5月7日から7月7日まで、鎌倉クラフトジン「露」との期間限定コラボレーションが始まっている。

 テーマは、紫陽花の彩りと、陽光に透ける朝露。紫陽花フェア初日、ご挨拶を兼ねて伺った。今回登場したのは、「紫陽花チャイニーズアフタヌーンティー」と「紫陽花チャイニーズパフェ&セイボリー」。王道の中国料理をベースに、モダンな感性と初夏の軽やかさを重ねた、美しいメニューである。

 テーブルに運ばれてきた一皿一皿は、まるで小さな季節の景色のようだった。紫陽花を思わせる淡い色合い。涼やかなゼリーの透明感。中華の技法を感じさせながらも、どこか軽やかで、遊び心がある。鎌倉クラフトジン「露」を使っていたのは「露とバタフライピーの愛玉子ブルーゼリー杏仁豆腐」、「露のメロンゼリー寄せ」、そして「露のエスカベッシュ」。

 どれも見た目が美しく、口に運ぶと、露らしい柑橘の香りとドライな余韻が、素材の持つやさしい甘みや酸味にそっと寄り添っていた。主張しすぎず、けれど確かに存在する。それは、露が大切にしてきた「鎌倉らしい静けさ」にも通じる味わいだった。

 「露」は、鎌倉・浄智寺の名水で加水したクラフトジンである。柑橘系のアロマ、ジュニパーベリー、そして余韻に残るスパイス。その香りが、中国料理の繊細な技法と出会うことで、また新しい表情を見せてくれた。

 実は、このコラボレーションの始まりは、とても何気ない時間だった。ある日、チャイナシャドーでシャンパン付きのフリーフロープランを楽しんでいた。料理も空間も心地よく、ついシャンパンも進む。そんな流れの中で、「クラフトジンはどんなものがありますか?」と尋ねた。当然、その時点では鎌倉クラフトジン「露」はメニューにはない。食事を終え、帰り際にレストラン・マネージャーの新井さんへそっと名刺をお渡しした。すると翌日、とても丁寧なメールが届いた。「ぜひ、お話を聞かせてください」そこからだった。その後、何度か打ち合わせを重ねた。露の香りや味わいだけでなく、浄智寺「甘露の井」のこと、鎌倉の空気感、なぜこのジンをつくったのか——。そんな背景まで丁寧に耳を傾けてくださった。

 総料理長の安藤さんは料理人としての視点から、レストラン・マネージャーの新井さんはレストラン全体を支える立場から、「露」をどのように料理へ落とし込めるかを真剣に考えてくださった。だからこそ、今回のコラボレーションには、単なる“商品使用”ではない、ひとつの物語のような温度を感じるのかもしれない。

 セイボリーには、露のボタニカルが香るエスカベッシュのほか、初夏らしい軽やかさを添えたミルクの天ぷら メロン風味なども並ぶ。スイーツには、紫陽花を思わせるココナッツタルト、露のジュレとブルーベリー杏仁豆腐、チャイナシャドー特製の愛玉子。甘み、酸味、香り、食感が少しずつ重なり、初夏の午後にふさわしい、上質で穏やかな時間が流れていく。

 そして、さらに印象的だったのは、総料理長の安藤さんが季節ごとの身体にやさしい食材を選び仕立てた、チャイナシャドーオリジナル中国茶「ロンフォン八宝茶」のウェルカムティー。豊かな香りがゆっくりと広がり、食事の始まりに心をほどいてくれる。アフタヌーンティーの締めには、追加で楽しめるハーフサイズのマーラータンとあんかけチャーハンも用意されている。甘味だけで終わらないところに、中国料理レストランならではの満足感がある。当然、どちらも追加オーダーして全て平げた。

 今回のコラボレーションが実現したのは、レストランマネージャーの新井さん、チャイナシャドー総料理長・安藤さんのお力添えがあってこそ。鎌倉の小さなクラフトジンに、こうして新しい舞台を用意してくださったことに、心から感謝している。

 鎌倉の禅寺「浄智寺」の井戸から汲まれた清水。その水を抱いたクラフトジンが、品川の空に近い中国料理レストランで、紫陽花の季節の一皿となる。初夏の光に透ける朝露のように静かで、涼やかで、少しだけ華やかに。「露」はまたひとつ、新しい景色に出会った。

https://intercontinental-strings.jp/jp/dine/china-shadow

プライバシーポリシー / 特定商取引法に基づく表記 / 利用規約

Copyright © 2025 株式会社風雅 All Rights Reserved.
0 カート

CLOSE